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渡辺は兵舎にイマヌエル・カントの哲学書『実践理性批判』を隠れて持ち込み、日々の横暴に耐えた。「カントの言葉は僕の宗教だった」。当時18歳だった渡辺に響いたのは「道徳律」という言葉だ。
忠敬は江戸中期にいまの千葉県に生まれた。17歳で佐原を代表する商家に婿養子に入る。周辺は関東有数の穀倉地帯、伊能家は酒造りや米の売買の他、水運、金融、不動産業などを手掛けた。忠敬は家業をもり立てつつ49歳にして隠居し、念願だった暦学や天文学を学ぶべく ...